2020年07月23日

歴史の香りは静かに去り行く

長崎の観光名所である眼鏡橋から歩いてすぐの魚の町という所に
江戸時代から続く老舗【江崎べっ甲店】が、先月までは確かに存在していましたicon23kao_9
おてきちも何度か行ったことがありますが。。。

建物がとても趣があって、市民の一人として心の中では誇りにも
思っていたくらいに、県民として絶対に自慢できる場所のひとつだったのですが。。。
残念ながら、長崎の街から建物そのモノも移築保存されることなく
無情にも姿を消す結果となったワケですわiconN37kao_18icon15

歴史の香りは静かに去り行く

その様子を長崎の某TV局が取材をされていたようで、その番組の放送(TV)から
写真を撮らせて貰い、ここに歴史を書き綴らせて頂きたく候!!

そして番組の中でBGMとして流れていたのが【愛は花、君はその種子】という
これは「ローズばら」という映画の主題歌として、ベット・ミドラーが歌って有名になった
ちょっと讃美歌?のような音楽なのですが・・・
それがまた涙を誘うワケですよiconN37kao_18icon12
出来ればこのメロディを聴きながらyubi_2kao_21楽譜 本日の話は読んで欲しいじょ(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=9Q-MgM4oR4o

歴史の香りは静かに去り行く

店舗は江戸時代に唐通詞の屋敷を、江崎家が買い取ってその後、洋風建築を
取り入れた和洋折衷の店舗へと、1898(明治31)年に改築されました。

その当時、客待ちをする人力車がズラリと表に並んでいたり。。。
外国人の客人も多かったらしく、その中にはロシアの皇太子「ニコライ」も来店され
その証に、サイン入りの写真なども展示されていましたよiconN37kao_16icon14
ニコライと言えば、知る人ぞ知る「大津事件」なんていうのもありましたね(笑)
また外国人にも分かるように店の看板には英語、ロシア語、日本語の表記がされていました。

歴史の香りは静かに去り行く

現在9代目である江崎淑夫社長は、べっ甲工芸の材料であるタイマイの輸入禁止や
職人の後継者不足などを熟慮し、余力のある内に閉店を決意した。と話されていましたiconN37kao_9カラオケ
長崎べっ甲は、2017(平成29)年に国の伝統的工芸品に指定され、これから益々・・・
と思っておられたことでしょうに、何とも悔しい気持ちだったとお察し致します。

長崎市内に残っているべっ甲店は、ここを含めて数軒らしく。。。
中でも江崎べっ甲店は、日本でもっとも歴史が古い創業1709年というからそういった伝統を
持った老舗が消えてゆくという現実を、周囲はどのように感じているのでしょうか!?

歴史の香りは静かに去り行く

そして店内には上野彦馬が撮影した幕末の長崎の風景や、べっ甲に関する資料などと
一緒に、当時の貴重な記録台帳のようなモノも残されています。

それは、この時代キリスト教を禁じるために町人たちに年に一度、正月に踏絵を行っていた
という記録台帳が、かなりの数残っていたみたいですよiconN37kao_16icon12
その中には、江崎家の初代当主「江崎清蔵」氏の名前もありましたyubi_2kao_16icon11
要するに、踏絵を踏んだ町人の名前や檀家の寺などを記した記録台帳のような
モノだったそうですフォルダiconN27

歴史の香りは静かに去り行く

番組内でのインタビューでは、長崎郷土史家・越中哲也先生(98歳)が話されていたのですが
万難を排してでも保存する方法に向かう!!
といった方針を長崎市が持つか、持たないか!!ですよ・・・と。

昨年の暮れぐらいから、市との話し合いは持たれていたようで市が土地と建物を買い取るか
それとも建物だけを買い取り移築を考えるか、など・・・
しかし結果は、移築するにも条件に合う移転先が見つからなかったことと
折り合いのつく金額ではなかった・・・という結論に至ったそうですicon23kao_20icon15
やはりこの世は全てが夢ではなく、金の世の中なんですカネicon12iconN34icon12

歴史の香りは静かに去り行く

越中先生は正倉院からの依頼で書いたという、べっ甲解説書【玳瑁考】の中で
色々と長崎べっ甲を中心に、江崎べっ甲店の屋敷のルーツについてなども記されていますが
長崎市内では、ついこの間も文化財の指定を解除し解体に至ってしまった料亭【富貴楼】
についても悲しい想いをされたばかりなのに、また今回の案件も同じく文化財指定を
解除せざる得ない結果となり、文化財に長年携わってこられた立場としては
ホントやるせない思いだとお察し致しますicon23kao_18icon15

歴史の香りは静かに去り行く

店舗の隣には庭園と十畳ほどの和室があるそうで。。。
庭園の方では、7年に1度廻って来る「長崎くんち」の庭見せ時に公開されていました。

かつては「座売り」といって、上客に限りこの座敷へ招いて座売りという形で
商売をされていたそうですフォルダiconN27
一般の人や外国人客に関しては、隣の洋風建築の店舗の方で販売をしていたらしく
このように和洋2つの店舗が、併存している商店建築が残されているのは
とても珍しいことなので、お金で買えないモノがここにはあるんです!!と
某大学教授だったかな?は、語られていましたけどねiconN37kao_9icon11

歴史の香りは静かに去り行く

無力な市民はクラウドファンディングをする余地もなく。。。
ただただ「解体やむなし」の風に流されて、消えゆく歴史の建造物を静かに見守ることしか
出来ないワケですな・・・

やさしさを 押し流す 愛 それは川
魂を 切り裂く 愛 それはナイフ
きっと来年の今頃は、江崎べっ甲店の跡地にはマンションかな?が、建設中で。。。
その場所に立ちながら【おもひでぽろぽろ】なんだろなぁ・・・icon23kao_20icon11

歴史の香りは静かに去り行く



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Posted by おてきち at 13:47 │ Comments( 4 ) 建造物
この記事へのコメント
 建物の保存については、公的建築物
なら文句なしに賛同します。
 しかし、個人の生活が絡んだ時は、生活重視で変化を容認すべきです。
 実家は重要建築物や地区ではないけど、まず生活に従う変化は容認・・・特に浴場、トイレ、炊事など、水回りは絶対清潔・便利であるべき。
 残すなら、外観だけで充分だと思います。
Posted by た at 2020年07月23日 19:10
た様
おてきちも同感です。
経営手腕が至らなかったのであろう・・・というと厳しく聞こえますが
やはり先手、先を読む、見通しが効く、など将棋の世界と同様に
最後には参りました!!と両手万歳もしくは、両手を膝について首をうなだれる
現実がいつか来るのでしょうからね。。。
次世代へ繋ぐということを担った人間の、与えられた責任の重さを考えると
おてきちはやっぱりボツンと一軒家が、性分にあってるような気がしますね(笑)
Posted by おてきちおてきち at 2020年07月24日 10:36
今日、ハチもTVで閉店したというニュースを見ました。ハチも行ったことがあるべっ甲の名店が解体されると聞き、ビックリです。店頭の看板だけでも保存していただきたい。
素晴らしい黒塀も解体されるのか・・・
Posted by ハチ at 2020年07月24日 14:13
ハチ様
良かったです(^-^)
ハチ様も以前に行かれたことがあって♬
看板の方は、市が譲り受けて歴博なりが保存管理するみたいですよ。
おてきちもこの黒壁を見るたびに、長浜の黒壁の風景を思い出していたものですから
色んな意味で淋しいワケですよ(T_T)
そういえば27日(月)19時30分だったかNHK番組に江崎べっ甲店の話も
登場するみたいですよ(^-^)
Posted by おてきちおてきち at 2020年07月25日 13:46
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